本年もまた熊本県市町村のご協力により手話奉仕員養成(研修)事業が始まりますことを厚くお礼申しあげます。手話奉仕員養成(研修)事業は、全国のろう者たちが主に社会生活を営むうえで意思疎通が充分に保証され、人間として人間らしく生きたいという願いから、今で言う意思疎通支援者、言い換えれば「手話通訳者」を養成してほしいと国に要請した結果、昭和45年から開始された長い歴史を持つ事業です。
現在、テレビなどで見られる手話通訳者は、この手話奉仕員養成を受けた人たちです。近年に至っては、国連の「障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する総合的かつ包括的な国際条約(「障害者権利条約」と略称されている。)」の国内批准に向けて、国内法や諸制度が整備されました。とくに、「障害者権利条約」第2条(定義)には、言語には音声を用いたものと音声を用いない非音声語があるとし、「言語に手話を含む」と明記され、これに則り我が国の「障害者基本法」第3条第3項にも「言語に手話を含む」と規定されました。
このように、手話は、″聴覚障害者たちへの福祉の道具″ という見方から、まぎれもない″言語″と規定されました。このような経過により、平成24年から″言語としての手話通訳者養成″を目指したテキストが改善に改善を重ねてできたわけです。簡単に「手話通訳者」養成と申しましたが、実際は1年間手話奉仕員養成の講習を終えても「手話通訳」ができるレベルには至りません。「手話通訳」が可能なレベルに至るには、さらに上のランクにあたる「手話通訳者養成Ⅰ・Ⅱ」を2年間の講習を受けなければなりません。学校方式のランクに例えていえば、「手話奉仕員」は、小学校卒業レベルが精いっぱいで、「手話通訳」レベルを目指すには高等学卒業以上にあたるレベルが必要です。
したがって、「手話通訳者」を目指すには、中学校・高等学校にあたる「手話通訳者養成Ⅰ・Ⅱ」を2年間講習を受けないと手話通訳レベルには至らないわけです。また「手話通訳士」の資格があり、このための学習がまた必要です。このように、手話通訳者を目指すには気が遠くなるほどの研鑽と努力が必要ですが、手話通訳者が増えることは、冒頭で述べましたように地域の聴覚障害者の社会福祉の向上に役立つものですから、ご希望をもって最後まで邁進いただきますようお願いいたします。
新手話教室 入門
実用手話単語集
手話教室 基礎
上の書籍のほかに熊本の聴覚障がい者福祉を知るために財団法人熊本県ろう者福祉協会創立60周年記念誌「夢を求めて」と全国の聴覚障がい者福祉を知るために「日本聴力障害新聞」の年間購読をお勧めします。
一般財団法人全日本ろうあ連盟が発行している「日本聴力障害新聞」
財団法人熊本県ろう者福祉協会創立60周年記念誌「夢を求めて」